アパレル|アラン・スコットが切り拓く新時代のカシミア

流通|海外のトレンド商品リサーチ

2024年、イギリス発の高級メンズウェアブランド「アラン・スコット」が世界のファッションシーンで注目を集めている。革新的なカシミヤストレッチ素材伝統を重んじたデザインが融合した彼のコレクションは、快適さとエレガンスを両立させ、メンズウェアの新たなスタンダードを生み出している。フィレンツェのピッティ・ウォモでの成功や、注目を集める「グレート・ブリティッシュ・ブランド・アワード2024」の受賞を通じ、業界内外で大きな話題となった。この記事では、アラン・スコットのブランドの魅力とその未来に迫る。

引用元 公式サイト

革新と伝統が生み出す「カシミヤストレッチ」素材

アラン・スコットが最も注目される理由の一つが、特許取得済みの「カシミヤストレッチ」素材。彼が3年をかけて開発したこの生地は、贅沢なカシミヤの肌触りとカシミヤにはなかった伸縮性を兼ね備えており、伝統的なカシミヤの快適さに現代的な機能性を追加するという革命を起こした。

伝統的なカシミヤは肌触り・暖かさ・柔らかさが魅力だが、その一方で動きに対する柔軟性が乏しく、スコットの開発した技術はカシミヤ繊維の加工に特殊なストレッチ素材を組み合わせ、自然な動きを妨げない新たな可能性を提供している。この素材はビジネスからカジュアルシーンまで、あらゆる場面で着用できる多用途性を誇る。

高級価格帯ながら、オーダーメイド対応も可能なこの素材は、富裕層を中心に支持を集めている。既にハロッズでのポップアップストアで成功を収めており、日本を含むアジア市場でも展開が期待されている。

デザインの源泉は「鷹匠」

画像引用:公式オンラインストア

スコットのデザインは、その独自性にも定評がある。彼の父が鷹匠であったことから、猛禽類のディテールが随所に散りばめられている。縫い目のデザインや革細工のパターンには羽根や鋭い爪を思わせる繊細なタッチが加えられ、男性らしさとエレガンスを絶妙に融合させている。
こうしたディテールは、イタリアのビエッラ地方で活動する職人たちの手によるものだ。彼らはスコットのデザインビジョンを忠実に再現しながら、細部にまでこだわるクラフツマンシップを発揮している。

イタリア・ビエッラの繊維一族、アルディゾーネ社との提携もスコットの成功を支える。伝統的な繊維技術を誇るアルディゾーネとのコラボレーションが伝統と革新の両立を可能とし、次々と生み出す新しいクリエイティブコンセプトを具現化する。シルクやリネンを取り入れた次世代の素材も開発中で、リゾートウェア市場にさらなる影響を与える可能性がある。

2023年9月、ロンドンのハロッズで開催されたアラン・スコットのポップアップストアは、ブランドにとって大きな転機となった。ハロッズは単なる高級百貨店ではなく、世界中の富裕層にとってステータスの象徴であり、ここでの成功はブランド価値を一気に高める結果となった。
このポップアップストアでは、顧客向けのオーダーメイド専用スペースが設置され、個別対応のサービスを提供。素材の選定から細部のデザインまで、顧客の要望を反映した特別な一着を仕立てる体験が提供された。

引用元 公式サイト

日本市場においても、高級メンズウェアの需要は拡大傾向にある。特に、快適性と高いデザイン性を兼ね備えた商品への関心が高まりつつある中で、アラン・スコットの製品はそのニーズに合致している。その為、近い将来に日本国内の高級百貨店やセレクトショップでの展開を目にする日が来るかもしれない。2025年のAWシーズンに要注目のブランドだ。