世界のタンブラー大特集|機能とデザインのトレンドを追う

流通|海外のトレンド商品リサーチ

日常生活に欠かせないアイテムとして、多くの人々に愛用されているタンブラー。カフェのテイクアウトやオフィスのデスク、アウトドアの相棒として、幅広いシーンで活躍しているこのアイテムが今、世界的なトレンドとなっている。

タンブラーの起源を遡ると、古代ローマ時代の金属製カップや中世の木製マグに行き着く。19世紀になると、産業革命によりガラスや金属製の飲み物容器が一般化し、やがて保温機能を備えたタンブラーが登場した。
現代ではエコ意識の高まりにより、多くの国で使い捨てカップの規制が強化されている。特に北米や欧州では、スターバックスやコスタコーヒーなどの大手チェーンが割引制度を導入することで、再利用可能なタンブラーの普及を後押ししている。世界の成長産業を調査するGGIの分析によると、タンブラーの世界市場規模は2032年まに8億2千万ドル(約1,200億円)に達するという。

タンブラーの奥深い世界を特集する本記事で、各地のユニークな機能とデザインを以下に紹介する。

自動浄化機能付きタンブラー「LARQ」(アメリカ発)

LARQ(ラーク)社が発売する「ボトル ピュアビス」は、世界初のセルフクリーニング・浄水機能付きタンブラー。ボトル内の大腸菌を99%カットするこの製品は、川の水を浄化して飲むことができる。アウトドアや旅行、日常生活での安全性を高める製品として人気を集めている。日本でも購入可能(参考価格:740mlサイズ7,990円/Amazon)。

コーヒー殻から作られたタンブラー「HuskeeCup」(オーストラリア発)

Huskee(ハスキー)社が発売する「ハスキーカップ」は、廃棄コーヒー豆の殻を活用して作られたタンブラー。シドニーで人気のロースターカフェ「パブロ&ラスティーズ」のオーナーが考案し立ち上げたこのブランドは、環境負荷を抑えシンプルかつスタイリッシュなデザインで、カフェ業界からも高い評価を受けている。日本でも購入可能(参考価格:1,980円~2,500円/Amazon、楽天その他)

ワインボトル型タンブラー「CORKCICLE」(アメリカ発)

CORKCICLE(コークシクル)社が発売するタンブラー。ユニークなワインボトル型のデザインで、保冷・保温性能に優れたステンレス製品。美しく持ちやすいフォルムは特許を取得しており、カジュアルなピクニックからフォーマルな場面まで幅広く活躍する。底がゴムになっており滑らない仕様だ。(参考価格:3,000円前後)

セラミックコーティングを施したタンブラー「STTOKE」(オーストラリア発)

STTOKE(ストーク)社の「クラシックリユーザブルカップ」は2022年のグッドデザイン賞を受賞。真空断熱構造にセラミックコーティングを施し、コーヒーの風味を損なわない設計が特徴的で、コーヒーや紅茶の臭い移りがなく汚れも付きづらい、日常使いにお手入れが楽なタンブラーである。(参考価格:5,940円/公式サイト)

3段階に加熱が可能なタンブラー「BOLT」(カナダ発)

アメリカのクラファンサイト、インディーゴーゴーで誕生した加熱式タンブラー「BOLT」。ポータブルで充電可能なこの製品は、ボタン操作で飲み物を3つのお好みの温度で4時間維持することができる。熱を発する部分を取り外し、食洗器で丸洗いできるのも魅力の一つ。(参考価格:約16,000円で応援購入可能/INDIEGOGO」

適温に保つタンブラー「Temperfect MUG」(アメリカ発)

クラウドファンディング(インディーゴーゴー)で誕生したもうひとつのタンブラーが「テンパーフェクトマグ」。完璧な1杯を標ぼうするこの製品は、暑いコーヒーや紅茶を注いだ温度に保つのではなく、適温で飲める温度に下げ、維持する。この目の付け所と可能にした技術には驚きだ。(参考価格:8,800円で購入可能/INDIGOGO)

 

日本が誇る技術力「象印ステンレスマグ」(日本発)

日本製の評価も高い。ニューヨークマガジンが2024ベストトラベルマグの1つとして選定したのが象印のステンレスマグ。とにかく水漏せず、丈夫で、温度を保ち、なおかつタンブラーとして使いやすいサイズと、日本の技術力と品質の高さが評価された形だ。(参考価格:3,820円/ヨドバシドットコム他)

日本のタンブラー市場と今後(記者の目)

国内ブランド「KINTO」や「象印」は、高品質でシンプルなデザインが消費者に支持されており、特に象印の真空断熱技術は海外でも注目を集めている。これに加え、次世代型のスマートタンブラーや洗いやすい分解式製品など、機能性に特化したアイデア商品が市場の注目を浴びている。

日本でも、これらの技術革新とデザイン性を生かした製品が消費者の多様なニーズに応える形で進化を続けている。
今後、海外市場での競争力を高めると同時に、生活の質を向上させる「日本発のタンブラー文化」がさらに広がることが期待される。